関数の極限値
今回は関数の極限値について解説していきます!
直感的に言うと、順番に並べた数がある値に近づく時、その値のことを関数/数列の極限あるいは極限値といい、この関数/数列は収束するといいます。
例)
\(\displaystyle\frac{1}{1}\), \(\displaystyle\frac{1}{2}\), \(\displaystyle\frac{1}{3}\), \(\cdots\), \(\displaystyle\frac{1]{100}\), \(\cdots\)
この場合、分母がどんどん大きくなっていくので \(0\) に近づいていることがわかります。
極限値
関数 \(f(x)\) において、\(x\) が \(a\) (\(x\neq a\)) に近づくとき、\(f(x)\) がある一定の値 \(\alpha\) (極限値) に限りなく近づく場合、この値 \(\alpha\) を、\(f(x)\) の極限値という。これを次のように表す。
\(\displaystyle\lim_{x \to a} f(x)=\alpha\)
または
\(x\longrightarrow a\) のとき \(f(x)\longrightarrow\alpha\)

不定形の極限
不定形の極限とは、全体がどのような極限地に向かうかが直接定められない以下のようなタイプの極限です。
・\(\infty-\infty\)
・\(0\times\infty\)
・\(\displaystyle\frac{0}{0}\)
・\(\displaystyle\frac{\infty}{\infty}\)
数列や関数の極限値は、「収束すること」が明らかになっていないと求められません。
例えば、次のような式の形では極限が定まりません。
※「定まりません。」というのは「極限値が存在しない。」という意味ではありません。”あるかどうか”すらわからない形です。
・\(\displaystyle\lim_{x \to 2}\frac{x^3-3x-2}{x^2-3x+2}\)
\(x\longrightarrow 2\) のとき、
\(\displaystyle\frac{x^3-3x-2}{x^2-3x+2}\longrightarrow\) \(\displaystyle\frac{0}{0}\)
・\(\displaystyle\lim_{n \to\infty}(2n^3-3n^2)\)
\(n\longrightarrow\infty\) のとき、
\(2n^3-3n^2\longrightarrow\) \(\infty-\infty\)
・\(\displaystyle\lim_{n \to\infty}\frac{\sqrt{n^3+1}}{\sqrt{n^2+1}+\sqrt{n}}\)
\(n\longrightarrow\infty\) のとき、
\(\displaystyle\frac{\sqrt{n^3+1}}{\sqrt{n^2+1}+\sqrt{n}}\longrightarrow\) \(\displaystyle\frac{\infty}{\infty}\)
関数の極限値(問題)
等式 \(\displaystyle\lim_{x \to 1}\frac{x^2+ax+b}{x-1}=3\) を満たす定数 \(a\), \(b\) の値を求めよ。
>>詳細はこちらから
解説
\(\displaystyle\lim_{x \to 1}(x-1)=0\) より
\(\displaystyle\lim_{x \to 1}(x^2+ax+b)=0\)
\(\displaystyle\lim_{x \to 1}(x-1)=0\) より 分母の極限値は \(0\) となります
\(\displaystyle\lim_{x \to 1}{x^2+ax+b}{0}\) (\(x^2+ax+b\neq 0\) のときこの値は収束しないので極限値は存在しません。
よって、与式が極限値を持つためには、
\(\displaystyle\lim_{x \to 1}(x^2+ax+b)=0\)
のように分子の極限値が \(0\) であるようにして不定形にする必要があります。
よって、
\(1+a+b=0\)
\(b=-a-1\) \(\cdots\) ①
与式に ① を代入すると、
\(\displaystyle\lim_{x \to 1}\frac{x^2+ax+b}{x-1}\)
\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\frac{x^2+ax-a-1}{x-1}\)
\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\frac{(x-1)(x+a+1)}{x-1}\)
\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}(x+a+1)=a+2\)
\(a+2=3\) であるから、
\(a=1\), \(b=-2\)
おわりに
さいごまで読んでいただきありがとうございました!
『統計の扉』で書いている記事
- 高校数学の解説
- 公務員試験の数学
- 統計学(統計検定2級レベル)
ぜひご覧ください!
数学でお困りの方は、コメントやXでご連絡ください。(Xはこちら)
私自身、数学が得意になれたのはただ運が良かったんだと思っています。たまたま親が通塾させることに積極的だったり、友達が入るって理由でそろばんに入れたり、他の科目が壊滅的だったおかげで数学が(相対的に)得意だと勘違いできたり。
”たまたま”得意になれたこの恩を、今数学の学習に困っている人に還元できたらなと思っています。お金は取りません。できる限り(何百人から連絡が来たら難しいかもですが…)真摯に向き合おうと思っていますのでオアシスだと思ってご連絡ください。