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本ブログを運営しているyu-toと申します。

統計学に関する記事を基礎、応用、実践に分けて投稿していきます。
高校数学に関する記事も多く投稿しているので、イチから学びたい社会人にもおすすめです。
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目的別「どの検定を使う?」をわかりやすく解説

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この記事を書いたのはこんな人

  • 国立大学大学院数学科修了
  • 元教員
  • 統計検定準1級
  • 数学検定準1級
  • 家庭教師やってます(こちら

この記事を書いたのはこんな人

yu-to

☑️ 国立大学大学院数学科修了
☑️ 元教員
☑️ 数学検定準1級
☑️ 統計検定準1級
☑️ 家庭教師(こちら

統計学を学び始めると、多くの人が最初につまずくのが

「結局、この場合はどの検定を使えばいいの?」

という疑問です。t検定、カイ二乗検定、ANOVA、F検定、ウィルコクソン検定……。名前は聞いたことがあっても、それぞれの違いが分かりにくいですよね。実は、検定は「何を知りたいか(目的)」によって選びます。そして、もう一つ重要なのが、

検定統計量がどの確率分布に従うか

ということです。検定では、まずデータから検定統計量を計算し、その値が帰無仮説のもとで従うt分布・F分布・カイ二乗分布・正規分布などを利用してp値を求めます。

この記事では、検定を目的別に整理し、

  • どんな場面で使うのか
  • 検定統計量
  • 従う確率分布

までまとめます。

目次

① 平均を比較したい

「平均値が違うか」を調べたいときに使う検定です。

1標本t検定

ある集団の平均が基準値と異なるかを調べます。

例えば、「クラスの平均点は70点と違うか」「製品の平均重量は規格値と違うか」といったケースです。

帰無仮説

\(H_0\):\(\mu=\mu_0\)

検定統計量

\(t=\displaystyle\frac{\bar{x}-\mu_0}{s/\sqrt n}\)

\(s=
\displaystyle\sqrt{
\frac{1}{n-1}
\sum_{i=1}^{n}
(x_i-\bar{x})^2
}\)(標本標準偏差)

従う分布

\(t\sim t(n-1)\)(自由度 \(n-1\) の \(t\) 分布)

2標本t検定(独立)

2つの独立したグループの平均を比較します。

例えば、「男女で平均身長が違うか」「A組とB組の平均点が違うか」などです。「独立」とは、一人が両方のグループに入らないことを意味します。

帰無仮説

\(H_0\):\(\mu_1=\mu_2\)

検定統計量(Welch版)

\(t=
\displaystyle\frac{\bar{x}_1-\bar{x}_2}
{\sqrt{\frac{s_1^2}{n_1}+\frac{s_2^2}{n_2}}}\)

\(s_1=
\displaystyle\sqrt{
\frac1{n_1-1}
\sum
(x_i-\bar{x}_1)^2
}\)

\(s_2=
\displaystyle\sqrt{
\frac1{n_2-1}
\sum
(y_i-\bar{x}_2)^2
}\)

従う分布

\(t\sim t(\nu)\)(Welch-Satterthwaite近似による自由度)

対応のあるt検定

同じ人を2回測定した場合に使います。

例えば、「勉強前と勉強後の点数」「ダイエット前後の体重」などです。

まず差 \(d_i=x_{i,\mathrm{after}}-x_{i,\mathrm{before}}\) を計算します。

帰無仮説

\(H_0\):\(\mu_d=0\)

検定統計量

\(t=
\displaystyle\frac{\bar d}{s_d/\sqrt n}\)

\(s_d=
\displaystyle\sqrt{
\frac1{n-1}
\sum(d_i-\bar d)^2
}\)

従う分布

\(t\sim t(n-1)\)

分散分析(ANOVA)

3群以上の平均を比較するときに使用します。

例えば、「3種類の勉強法」「4種類の薬」「5つの店舗」などです。\(t\) 検定を何回も行うと偶然有意になる確率が高くなるため、3群以上ではANOVAを使います。

帰無仮説

\(H_0\):\(\mu_1=\mu_2=\cdots=\mu_k\)

検定統計量

\(F=
\displaystyle\frac{MS_{\mathrm{between}}}
{MS_{\mathrm{within}}}\)

\(SS_{\mathrm{between}}
=
\displaystyle\sum_{i=1}^{k}
n_i(\bar{x}_i-\bar{x})^2\)(群間平方和)

\(SS_{\mathrm{within}}
=
\displaystyle\sum_{i=1}^{k}
\sum_{j=1}^{n_i}
(x_{ij}-\bar{x}_i)^2\)(群内平方和)

\(MS_{\mathrm{between}}
=
\displaystyle\frac{SS_{\mathrm{between}}}
{k-1}\)(群間平均平方)

\(MS_{\mathrm{within}}
=
\displaystyle\frac{SS_{\mathrm{within}}}
{n-k}\)(群内平均平方)

従う分布

\(F\sim F(k-1,n-k)\)

② 比率やカテゴリを比較したい

データが「人数」や「割合」の場合はこちらです。

カイ二乗検定(適合度検定)

理論上の割合と実際の割合が一致しているかを調べます。

例えば、「サイコロは公平か」「コインは偏っていないか」などです。

検定統計量

\(\chi^2=
\displaystyle\sum_{i=1}^{k}
\frac{(O_i-E_i)^2}{E_i}\)

  • \(O\):観測度数
  • \(E\):期待度数

従う分布

\(\chi^2\sim\chi^2(k-1)\)

カイ二乗検定(独立性の検定)

2つのカテゴリに関連があるかを調べます。

例えば、「喫煙と病気」「性別と商品の購入」「血液型と好きなスポーツ」などです。

検定統計量

\(\chi^2=
\displaystyle\sum
\frac{(O-E)^2}{E}\)

従う分布

\(\chi^2
\sim
\chi^2((r-1)(c-1))\)

比率の検定

2つの割合を比較します。

例えば、「男女で合格率が違うか」「新旧広告でクリック率が違うか」などです。

帰無仮説

\(H_0\):\(p_1=p_2\)

検定統計量

\(z=
\displaystyle\frac{\hat p_1-\hat p_2}
{\sqrt{\hat p(1-\hat p)
\left(
\frac1{n_1}+\frac1{n_2}
\right)}}\)

\(\hat p
=
\displaystyle\frac{x_1+x_2}
{n_1+n_2}\)

従う分布

\(Z\sim N(0,1)\)(標準正規分布)

③ 分散(ばらつき)を比較したい

平均ではなく、「データの散らばり」を比較したい場合です。

F検定

2つの集団の分散が等しいかを調べます。

実は \(t\) 検定の前提条件を確認する目的でもよく使われます。

帰無仮説

\(H_0\):\(\sigma_1^2=\sigma_2^2\)

検定統計量

\(F=
\displaystyle\frac{s_1^2}{s_2^2}\)

\(s^2=
\displaystyle\frac1{n-1}
\sum(x_i-\bar{x})^2\)

従う分布

\(F\sim F(n_1-1,n_2-1)\)

カイ二乗検定(母分散の検定)

母集団の分散が基準値と一致するかを調べます。

品質管理などで利用されることがあります。

帰無仮説

\(H_0\):\(\sigma^2=\sigma_0^2\)

検定統計量

\(\chi^2=
\displaystyle\frac{(n-1)s^2}{\sigma_0^2}\)

従う分布

\(\chi^2\sim\chi^2(n-1)\)

④ 相関・回帰を調べたい

変数同士の関係を調べるときはこちらです。

相関係数の検定

「相関係数が0ではないか」を検定します。

例えば、「勉強時間と点数」「身長と体重」などです。

帰無仮説

\(H_0\):\(\rho=0\)

検定統計量

\(t=
\displaystyle\frac{r\sqrt{n-2}}
{\sqrt{1-r^2}}\)

従う分布

\(t\sim t(n-2)\)

回帰係数のt検定

回帰分析で「説明変数が本当に影響しているか」を調べます。

回帰式 \(y=\beta_0+\beta_1x+\varepsilon\) について

帰無仮説

\(H_0\):\(\beta_1=0\)

検定統計量

\(t=
\displaystyle\frac{\hat\beta_1}
{\mathrm{SE}(\hat\beta_1)}\)

従う分布

単回帰では \(t\sim t(n-2)\)

重回帰では \(t\sim t(n-p-1)\)

F検定(回帰式全体)

回帰モデル全体が有効かどうかを調べます。

帰無仮説

\(H_0\):\(\beta_1=\beta_2=\cdots=\beta_p=0\)

検定統計量

\(F=
\displaystyle\frac{MS_{\mathrm{reg}}}
{MS_{\mathrm{res}}}\)

\(SS_{\mathrm{reg}}
=
\displaystyle\sum
(\hat y_i-\bar y)^2\)(回帰平方和)

\(SS_{\mathrm{res}}
=
\displaystyle\sum
(y_i-\hat y_i)^2\)(残差平方和)

平均平方

\(MS_{\mathrm{reg}}
=
\displaystyle\frac{SS_{\mathrm{reg}}}{p}\)

\(MS_{\mathrm{res}}
=
\displaystyle\frac{SS_{\mathrm{res}}}{n-p-1}\)

従う分布

\(F\sim F(p,n-p-1)\)

⑤ 正規分布を仮定できないとき

\(t\) 検定などは「正規分布」が前提になります。

その前提を確認したり、満たさない場合にはノンパラメトリック検定を使用します。

シャピロ・ウィルク検定

データが正規分布に従うかを確認します。

帰無仮説

\(H_0\):\(\text{データは正規分布に従う}\)

検定統計量

\(W=
\displaystyle\frac{\left(\sum a_i x_{(i)}\right)^2}
{\sum(x_i-\bar x)^2}\)

従う分布

解析的な形では表せないため、Shapiro–Wilk検定固有の帰無分布(ソフトウェアで計算)を用います。

ウィルコクソン符号付順位検定

対応のある \(t\) 検定の代わりになります。

例えば、「前後比較」「同じ人を2回測定」などで、正規分布を仮定できない場合に使用します。

検定統計量

\(W=\displaystyle\sum \text{符号付き順位}\)

従う分布

  • 小標本:厳密分布
  • 大標本:標準正規分布による近似 \(Z\sim N(0,1)\)

マン・ホイットニーU検定

2標本 \(t\) 検定のノンパラメトリック版です。

独立した2群を比較したいときに利用します。

検定統計量

\(U=
R-\displaystyle\frac{n(n+1)}2\)

従う分布

  • 小標本:厳密分布
  • 大標本:標準正規分布による近似 \(Z\sim N(0,1)\)

検定選びで迷ったら確認すること

検定は覚えるよりも、「質問に答える」ように選ぶと整理しやすくなります。

次の4つを順番に考えるだけで、多くの問題は判断できます。

  1. 何を比較したい?(平均・割合・分散・相関)
  2. グループはいくつ?(1群・2群・3群以上)
  3. 対応のあるデータか?(同じ人の前後比較か、別の集団か)
  4. 正規分布を仮定できるか?(できない場合はノンパラメトリック検定)

まとめ

統計の検定は種類が多く見えますが、「目的」で分類すると非常にシンプルになります。

目的代表的な検定検定統計量従う分布
平均を比較t検定tt分布
3群以上の平均ANOVAFF分布
割合・カテゴリカイ二乗検定χ²カイ二乗分布
割合の比較比率の検定Z標準正規分布
分散の比較F検定FF分布
母分散母分散の検定χ²カイ二乗分布
相関・回帰係数t検定tt分布
回帰式全体F検定FF分布
ノンパラメトリックウィルコクソン・マン・ホイットニーUW・U厳密分布(大標本では標準正規分布で近似)

このように整理すると、検定は単なる暗記ではありません。

「何を知りたいか」→「どの検定統計量を計算するか」→「その統計量が従う確率分布からp値を求める」

という流れで考えると、検定同士のつながりが見え、統計学を体系的に理解できるようになります。

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

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これまでは塾講師や高校で働いていたのですが、現在はデータサイエンティストとして活動しています。社会やビジネスで数学がどのように使われているのか、そういった話も交えながら進められればと思っております。

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