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【微分法の応用】平均値の定理

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統計学を約10年間勉強してきました。
現在は、統計スキルを自身のキャリアに活用してきた方法をブログで発信しています。

  • 大学の研究テーマ「主成分分析を使った正しい評価方法」

  • 大学院の研究テーマ「階層的区間クラスタリング」

  • 統計検定2級所持

  • Kaggleのコンペに参加

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目次

平均値の定理

① ロルの定理

関数 \(f(x)\) が閉区間 \([a\), \(b]\) で連続、開区間 \((a\), \(b)\) で微分可能で \(f(a)=f(b)\) ならば

 \(f'(c)=0\), \(a<c<b\)

を満たす実数 \(c\) が存在する。

図形的に説明すると、

「区間 \(a\leq x\leq b\) で、関数 \(y=f(x)\) のグラフがひとつながりの滑らかな曲線(関数 \(f(x)\) が連続かつ微分可能)であって、\(f(a)=f(b)\) であれば、点 \((c\), \(f(c))\) [\(a<c<b\)]における接線が \(x\) 軸と平行になるような実数 \(c\) が少なくとも \(1\) つ存在する」

ということです。もっと簡単に言えば、

「グラフが曲線 (直線でない) のとき \(a<x<b\) において、\(f(a)=f(b)\) ならば、その間で絶対に凹凸があり、その凹凸で微分ができて \(f'(c)=0\) となる \(c\) が存在する。」

という意味になります。上の図のように、条件を満たす接点が何個あるかわかりませんが、少なくとも \(1\) 個は存在することを保証する定理です。

ロルの定理の証明

[1] \(f(x)\) が定数のとき

 常に \(f'(x)=0\) であるから、明らかに定理は成り立つ。

[2] \(f(x)\) が定数でないとき

\(f(x)\) は閉区間 \([a\), \(b]\) で連続であるから、最大値・最小値の定理により、この区間で最大値と最小値をもつ。

(ア)\(f(a)\) が最大値でないとき、最大値をとる点の \(x\) 座標を \(c\) とすると、\(a<c<b\) であるから、\(a<c<\Delta x<b\) を満たす \(\Delta x\) に対して \(f(c+\Delta x)\leq f(c)\) となる。ゆえに、

 \(\Delta x>0\) のとき 

  \(\displaystyle\frac{f(c+\Delta x)-f(c)}{\Delta x}\leq 0\) \(\cdots\) ①

 \(\Delta x<0\) のとき

  \(\displaystyle\frac{f(c+\Delta x)-f(c)}{\Delta x}\geq 0\) \(\cdots\) ②

\(f(x)\) は \(x=c\) で微分可能であるから

 \(\displaystyle\lim_{\Delta x\to 0} \frac{f(c+\Delta x)-f(c)}{\Delta x}=f'(c)\)

① より \(f'(c)\leq 0\)
② より \(f'(c)\geq 0\)

したがって \(f'(c)=0\)

(イ)\(f(a)\) が最大値であるとき、最小値をとる点を \(c\) とすると、

\(a<c<b\) であるから、(ア)と同様に \(f'(c)=0\) となる。

[1], [2] から、ロルの定理が成り立つ。

② 平均値の定理

[1] 関数 \(f(x)\) が閉区間 \([a\), \(b]\) で連続、開区間 \((a\), \(b)\) で微分可能ならば

 \(\displaystyle\frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)\), \(a<c<b\) \(\cdots\) A

を満たす実数 \(c\) が存在する。

[2] 関数 \(f(x)\) が閉区間 \([a\), \(a+h]\) で連続、開区間 \((a\), \(a+h)\) で微分可能ならば

 \(f(a+h)=f(a)+hf'(a+\theta h)\), \(0<\theta<1\)

を満たす実数 \(\theta\) が存在する。

前ページのロルの定理で、条件 \(f(a)=f(b)\) がない場合についての定理である。つまり、ロルの定理は平均値の定理の特別な場合である。

平均値の定理の証明

\(k=\displaystyle\frac{f(b)-f(a)}{b-a}\) \(\cdots\) ①、\(F(x)=f(x)-k(x-a)\) とする。

閉区間 \([a\), \(b]\) で、\(f(x)\) も連続であり、開区間 \((a\), \(b)\) で、\(f(x)\) が微分可能であるとき、\(F(x)\) も微分可能である。

 \(F(a)=f(a)\),

 \(F(b)=f(b)-\displaystyle\frac{f(b)-f(a)}{b-a}(b-a)=f(a)\)

であるから \(F(b)=F(a)\)

また \(F'(x)=f'(x)-k\)

ここで、関数 \(F(x)\) について、ロルの定理により

 \(F'(c)=0\), \(a<c<b\)

を満たす実数 \(c\) が存在する。

\(F'(c)=0\) から \(f'(c)-k=0\) すなわち \(f'(c)=k\)

よって、① から

 \(f'(c)=\displaystyle\frac{f(b)-f(a)}{b-a}\), \(a<c<a\)

を満たす実数 \(c\) が存在する。

平均値の定理(問題)

(1) \(f(x)=2\sqrt{x}\) と区間 \([1\), \(4]\) について、平均値の定理の条件を満たす \(c\) の値を求めよ。

(2) \(f(x)=\log x\) と 区間\([1\), \(e]\) について、平均値の定理を満たす \(c\) の値を求めよ。

平均値の定理(解説)

平均値の定理を用いるためには、条件である微分可能性と連続であることを確認する必要があります。グラフの概形を想像すると自明であるが念の為に断っておこう。また、「微分可能性であれば、連続である」ため微分可能性だけ断れば十分です。

(1)

\(f(x)\) は区間 \((1\), \(4)\) で微分可能で

 \(f'(x)=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{x}}\)

平均値の定理 \(\displaystyle\frac{f(4)-f(1)}{4-1}=f'(c)\) を満たす \(c\) の値は、

\(\displaystyle\frac{4-2}{3}=\frac{1}{\sqrt{c}}\) から \(\sqrt{c}=\displaystyle\frac{3}{2}\)

ゆえに \(c=\displaystyle\frac{9}{4}\)

これは \(1<c<4\) を満たすから、求める \(c\) の値である。

(2)

\(f(x)\) は区間 \((1\), \(e)\) で微分可能で

 \(f'(x)=\displaystyle\frac{1}{x}\)

平均値の定理 \(\displaystyle\frac{f(e)-f(1)}{e-1}=f'(c)\) を満たす \(c\) の値は、

\(\displaystyle\frac{1-0}{e-1}=\frac{1}{c}\) から \(c=e-1\) ※ \(e=2.7…\)

これは \(1<c<e\) を満たすから、求める \(c\) の値である。

おわりに

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

このブログでは統計学を学びたい学生/社会人向けに記事を書いています。

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