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【確率】『反復試行』サイコロを5回投げる時の反復試行の確率問題

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統計学を約10年間勉強してきました。
現在は、統計スキルを自身のキャリアに活用してきた方法をブログで発信しています。

  • 大学の研究テーマ「主成分分析を使った正しい評価方法」

  • 大学院の研究テーマ「階層的区間クラスタリング」

  • 統計検定2級所持

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目次

反復試行の確率(サイコロ編)

反復試行は、同じ試行が繰り返される時に使う考え方です。

例)サイコロを 1 回振る。この試行を 5 回繰り返すとき、1 の目がちょうど 3 回出る確率を求めなさい。

試行(「サイコロを1回振る。」)が複数回繰り返される時は反復試行の考え方を使います。では、公式と公式の考え方を見ていきましょう。

反復試行の確率の公式

反復試行の公式

\(1\) 回の試行で事象 \(A\) が起こる確率を \(p\) とする。この試行を \(n\) 回繰り返すとき、

事象 \(A\) がちょうど \(r\) 回起こる確率は、

$${}_nC_r p^r (1-p)^{n-r}$$

となる。

\({}_nC_r\) はなぜ必要か?

例)コインを5回振るとき、4回表が出る確率を求めよ。

 表が出る確率は、\(\displaystyle\frac{1}{2}\)
 裏が出る確率は、\(\displaystyle\frac{1}{2}\)

よって、公式に当てはめると、

$${}_5C_4\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^4\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^1$$

となります。ここで、\({}_5C_4\) が必要な理由を考えてみましょう。

5回振る時とき、4回表が出るパターンを単純に並べてみると、

表, 表, 表, 表, 
表, 表, 表, , 表
表, 表, , 表, 表
表, , 表, 表, 表
, 表, 表, 表, 表

これらすべて表が4回、裏が1回であることには変わりはありませんね。つまり、何回目に表や裏が出るかを考えなければならないのです。

仮に、\({}_5C_4\) を付けずに、

$$\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^4\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^1$$

としたとすると、これは上記の並び替えの1パターンしか満たしていないことになります。したがって、表が4回、裏が1回の合計5回の並び替え \({}_5C_4\) を掛け算する必要があるのです。

サイコロの確率問題

今回は、反復試行の問題の中でもサイコロを利用した問題です。

サイコロを使った確率問題は非常に多く出題されるので、サイコロの問題で覚えておくと良いポイントをまとめておきます。

① \(1\) の目から \(6\) の目まである。

② どの目が出る確率も同様に確からしい。

⇨ どの目も出る確率は均一に \(\displaystyle\frac{1}{6}\) となる。

③ さいころの出目の全パターン

 \(2\) 回振る ⇨  \(6 \times 6=36\) 通り
 \(3\) 回振る ⇨  \(6 \times 6 \times 6=216\) 通り
 \(4\) 回振る ⇨  \(6 \times 6 \times 6 \times 6=1296\) 通り

特に③はサイコロの問題がきたらすぐに思いつくようにしましょう。サイコロを3回振るときは、\(216\) パターンです。上手い方法が思いつかなかったら、すべて並べてあげれば問題を解くことができることも、念のため覚えておくと良いでしょう。

反復試行の問題

\(1\) つのサイコロを \(5\) 回投げる時、次の確率を求めなさい。

(1) 素数の目がちょうど \(4\) 回出る確率を求めなさい。

(2) 素数の目が \(4\) 回以上出る確率を求めなさい。

反復試行の問題(答案の例)

(1) 素数の目がちょうど \(4\) 回出る確率を求めなさい。

素数の目が出る確率は、\(\displaystyle\frac{3}{6}=\frac{1}{2}\)

となる。よって、

\begin{eqnarray} {}_5C_4\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^4\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^1 &=& 5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{16}\right)\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)\\ &=& 5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{32}\right)\\ &=& \displaystyle\frac{5}{32} \end{eqnarray}

(2) 素数の目が \(4\) 回以上出る確率を求めなさい。

\(4\) 回出る確率は (1) で求めたので、\(\displaystyle\frac{5}{32}\)

\(5\) 回出る確率は、

\begin{eqnarray} {}_5C_5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^0 &=& 1\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{32}\right)\cdot 1\\ &=& \displaystyle\frac{1}{32}\\ \end{eqnarray}

よって、\(\displaystyle\frac{5}{32}+\displaystyle\frac{1}{32}=\displaystyle\frac{6}{32}=\displaystyle\frac{3}{16}\)

反復試行の問題(解説)

(1) 素数の目がちょうど \(4\) 回出る確率を求めなさい。

公式の文字 \(1\) つ \(1\) つを確認してみます。

\({}_nC_r p^r (1-p)^{n-r}\) より \(n=5\), \(r=4\), \(p\) について

素数の目は \(2\), \(3\), \(5\) より

素数の目が出る確率は、\(p=\displaystyle\frac{3}{6}=\frac{1}{2}\) となる。

\(n\), \(r\), \(p\) を代入すると、

\begin{eqnarray} {}_5C_4\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^4\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^1 &=& 5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{16}\right)\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)\\ &=& 5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{32}\right)\\ &=& \displaystyle\frac{5}{32} \end{eqnarray}

なお、\({}_5C_4\)については、素数が出る \(4\) 回分が \(5\) 回中どのタイミングで出てくるかを考慮したものになります。言い換えれば、素数が出ない \(1\) 回分がいつ現れるかを考えることに等しいので、\({}_5C_1\) として計算しても全く同じ答えになりますので、合わせて覚えておきましょう。

(2) 素数の目が \(4\) 回以上出る確率を求めなさい。

まず今回の問題で、「 \(4\) 回以上」という言葉が何を意味しているかを考えましょう。

「素数の目が \(4\) 回以上出る」を言い換えると、「素数の目が \(4\) 回または \(5\) 回出る」となります。

\(4\) 回出る確率は (1) で求めたので、\(\displaystyle\frac{5}{32}\)

\(5\) 回出る確率は、

\begin{eqnarray} {}_5C_5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^5\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^0 &=& 1\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{32}\right)\cdot 1\\ &=& \displaystyle\frac{1}{32} \end{eqnarray}

確率の計算において、「または」と来たら \(2\) つの確率の足し算となります。

今回、「 \(4\) 回出る」または「 \(5\) 回出る」より、\(4\) 回出る確率と\(5\) 回出る確率の和を考えれば答えとなります。

よって、\(\displaystyle\frac{5}{32}+\displaystyle\frac{1}{32}=\displaystyle\frac{6}{32}=\displaystyle\frac{3}{16}\)

となります。


<補足>

今回の問題での「または」という表現に関する、確率に出てくる紛らわしい計算を少し見てみましょう。こちらに関する詳しい説明を見たい方は、別の記事で紹介していますので、そちらをチェックしてみてください。まず、以下のような問題を考えます。

\(A\) さんと \(B\) さんがさいころを振ったとき、次の確率を求めよ。

① \(A\) さんが \(1\) を出す、または、 \(B\) さんが \(1\) を出す確率
② \(A\) さんが \(1\) を出し、かつ、 \(B\) さんも \(1\) を出す確率

\(2\) つの問題文の違いはすぐにお分かりかと思います。

一つひとつ解き方を考えてみましょう。

①の場合は、「または」なので、\(A\) さんが \(1\) を出す確率と \(B\) さんが \(1\) を出す確率の和を求め、

$$\displaystyle\frac{1}{6}+\displaystyle\frac{1}{6}=\displaystyle\frac{1}{3}$$

となります。

しかし、②の場合は、\(A\) さんが \(1\) を出し、さらに \(B\) さんも \(1\) を出さなければなりません。こちらの方が難易度が高くなりますね。このように、「かつ」などの表現が使われるものは、文章の前後の事象がどちらも起こらなければなりません。「または」の場合は、文章の前後の事象のうち、どちらか一方が起こればよかったので、この点で①と②には大きな違いがあります。ちなみに、②の場合の計算は、和ではなく積を考えます。

よって、

$$\displaystyle\frac{1}{6} \times \displaystyle\frac{1}{6}=\displaystyle\frac{1}{36}$$

となります。結果を見ても、②の方が難しことがわかりますね。

<補足>のまとめ

「\(A\) または \(B\)」

⇨ \(A\) か \(B\) のどちらかが起こればいい
⇨ 和を計算する

「\(A\) かつ \(B\)」(\(A\) が起きてさらに \(B\) が起こる)

⇨ \(A\) と \(B\) どちらも起こらなければならない
⇨ 積を計算する

詳しくはこちらの記事にも

おわりに

今回は、サイコロを5回投げる時の反復試行の確率問題でした。

反復試行の公式

\(1\) 回の試行で事象 \(A\) が起こる確率を \(p\) とする。この試行を \(n\) 回繰り返すとき、

事象 \(A\) がちょうど \(r\) 回起こる確率は、

$${}_nC_r p^r (1-p)^{n-r}$$

となる。

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

このブログでは統計学を学びたい学生/社会人向けに記事を書いています。

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