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【式と証明】『不等式の証明』根号を含む不等式の証明

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目次

根号が含まれる不等式の証明では、 \(2\) 乗を疑え

今回は不等式の証明を取り扱いますが、不等式に根号、つまりルートが含まれるものを紹介します!

根号は\(2\) 乗するとルートが外れるのが大きな特徴です。例えば、 \((\sqrt{2})^2=2\) のような感じですね。
この特徴を使い、計算が面倒なルートをなるべく消去しながら証明を進めていくのが基本的な流れになります。

では、実際に問題を見ていきましょう。

不等式の証明(問題)

次の不等式を証明しなさい。また、等号が成り立つのはどのような場合か調べなさい。ただし、( \(1\) )では \(a \geq 0\) 、\(b \geq 0\)とする。
( \(1\) )\(\sqrt{a}+\sqrt{b} \leq \sqrt{2(a+b)}\)
( \(2\) )\(\sqrt{5}-\sqrt{3}>\sqrt{8}-\sqrt{6}\)

答案の例

( \(1\) )

\(\bigl\{ \sqrt{2(a+b)} \bigr\}^2-(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\)
\(=2(a+b)-(a+2\sqrt{ab}+b)\)
\(=a-2\sqrt{ab}+b\)
\((\sqrt{a}-\sqrt{b})^2 \geq 0\)

等号成立は、 \(\sqrt{a}-\sqrt{b}=0\) から \(a=b\) のとき。

したがって、\(\bigl\{\sqrt{2(a+b)}\bigr\}^2 \geq (\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\)

\(a \geq 0\) 、 \(b \geq 0\)なので、\(\sqrt{2(a+b)} \geq 0\)、\(\sqrt{a}+\sqrt{b} \geq 0\)

これにより、\(\sqrt{2(a+b)} \geq \sqrt{a}+\sqrt{b}\)
この際の等号成立も \(a=b\)。

( \(2\) )

\((\sqrt{5}+\sqrt{6})^2-(\sqrt{3}+\sqrt{8})^2=2(\sqrt{30}-\sqrt{24}) >0\)

\(\sqrt{5}+\sqrt{6}\) も \(\sqrt{3}+\sqrt{8}\) も正の数であるから、\(\sqrt{5}+\sqrt{6}>\sqrt{3}+\sqrt{8}\)

よって、 \(\sqrt{5}-\sqrt{3}>\sqrt{8}-\sqrt{6}\)

解説

( \(1\) )

まず、ルートが入っていると、大小関係が判断しにくいため、前述した通り、 \(2\) 乗してルートを外すことができないかを疑ってみます。

ここで大事なことは、 \(2\) 乗して大小を比較するときは、比較する数の符号を確認することが絶対条件である、ということです。

この理由は、例えば \(2<3\) という不等式で考えてみます。
この両辺は正の数なので、 \(2\) 乗しても不等号は変わらず、 \(4<9\) となりますね。

しかし例えば \(2>-3\) のように、片方が負の数の場合、 \(2\) 乗することで不等号の向きが変わり、 \(4<9\) となりますね。
ちなみに、両辺が負の数の場合でも、不等号の向きが変わります

このように、\(2\) 乗すると不等号の向きが変わる可能性があるので、 \(2\) 乗する前の数の符号をチェックしておく必要があるわけですね。

今回の不等式の左辺、\(\sqrt{a}+\sqrt{b}\)について、
\(a \geq 0\) により \(\sqrt{a} \geq 0\)
\(b \geq 0\)により \(\sqrt{b} \geq 0\)
なので、\(\sqrt{a}+\sqrt{b} \geq 0\) となります。

また、右辺の\(\sqrt{2(a+b)}\)についても、\(2(a+b) \geq 0\) により、\(\sqrt{2(a+b)} \geq 0\) となります。

これによって、両辺が正の数なので、 \(2\) 乗した数の大小関係も変わりません。

つまり、
\(\sqrt{a}+\sqrt{b} \leq \sqrt{2(a+b)} \cdots ①\)
の両辺を \(2\) 乗した場合でも、
\((\sqrt{a}+\sqrt{b})^2 \leq \bigl\{\sqrt{2(a+b)}\bigr\}^2 \cdots ②\)
のように、不等号が変化しないということです。

①ではルートが多く入っていて示しにくいため、ここからは②を示す方向で進めていきます。
②を示すことができれば、自然と①も示したことになるのです。

②について、\(大-小\) により、
\(\bigl\{\sqrt{2(a+b)}\bigr\}^2-(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\)
\(=2(a+b)-(a+2\sqrt{ab}+b)\)
\(=a+b-2\sqrt{ab} \cdots ③\)

ここで、 \(a\) 、\(b\) 、 \(\sqrt{ab}\) がすべて正の数なので、 \(a+b\) と \(2\sqrt{ab}\) のどっちが大きいかという問題になります。

\(a+b\) の方が大きければ、 \(③ \geq 0\)
\(2\sqrt{ab}\) の方が大きければ、 \(③ \leq 0\)

さて、ここでも \(2\) 乗して比較するという技を使っていきます。

今回は、前述した通り、\(a\) 、\(b\) 、 \(\sqrt{ab}\) がすべて正の数なので、 \(2\) 乗したときの大小関係がそのまま\(a+b\) と\(2\sqrt{ab}\) の大小関係となります。

\((a+b)^2\)
\(=a^2+2ab+b^2 \cdots ④\)

\((2\sqrt{ab})^2\)
\(=4ab \cdots ⑤\)

\(④-⑤\) より、
\(a^2+2ab+b^2-4ab\)
\(=a^2-2ab+b^2\)
\(=(a-b)^2 \geq 0\)

よって、④の方が大きいことがわかります。これにより、③において、\(a+b\) の方が大きいことがわかりますね。つまり、\(③ \geq 0\)となります。

つまり、\({\sqrt{2(a+b)}}^2 \geq (\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\) なので、その結果、\(\sqrt{2(a+b)} \geq \sqrt{a}+\sqrt{b}\) となります。

手順が長くて面倒に感じますが、使っている知識は少ないので、 \(2\) 乗するという技をうまく活用できるようにしましょう。

模範解答にあるように、
\(a+b-2\sqrt{ab}\)
\(=(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2 \geq 0\)
という式変形によって、不等式を証明してもいいですが、この式変形が思いつきにくいため、 \(2\) 乗するという手段をとにかく駆使するやり方を解説では紹介しました。

また、等号成立については、\((a-b)^2 \geq 0\)を導いた時点で、 \(2\) 乗の中身が \(0\) になるような条件を見つければいいのです。

よって、\(a-b=0\) なので \(a=b\) となります。

( \(2\) )

今回もルートが入っているため、 \(2\) 乗する方法を思い浮かべます。

ただ、\(\sqrt{5}-\sqrt{3}\) と \(\sqrt{8}-\sqrt{6}\) をそのまま \(2\) 乗して比較すると、途中で少し困ったことになってしまいます。

\((\sqrt{5}-\sqrt{3})^2\)
\(=5-2\sqrt{15}+3\)
\(=8-2\sqrt{15}\)

\((\sqrt{8}-\sqrt{6})^2\)
\(=8-2\sqrt{48}+6\)
\(=14-8\sqrt{3}\)

結局どっちが大きいのかわからないですね。

上記のことは、次の \(2\) 点が問題となって、大小関係がわかりにくくなっています。
① 整数と根号が付いた数が含まれている
② 正の数と負の数がどちらも含まれている

これらを一つひとつ解決していきます。

まずは②に着目しましょう。負の数となっている\(-2\sqrt{15}\)と\(-8\sqrt{3}\) の符号は、以下の赤の部分が原因で決まっています。
 \((\sqrt{5}\) \(-\) \(\sqrt{3})^2\)
 \((\sqrt{8}\) \(-\) \(\sqrt{6})^2\)

ここがプラスになれば、負の数が混ざることはなくなります。

そこで、そのまま \(2\) 乗せずに、\(\sqrt{3}\) と \(\sqrt{6}\) を移項し、\(\sqrt{5}+\sqrt{6}\)と \(\sqrt{3}+\sqrt{8}\) を作り出します。これで \(2\) 乗しても負の数が出てくることはありません。

つまり、示すべき不等式は、\(\sqrt{5}+\sqrt{6}>\sqrt{3}+\sqrt{8}\) となるわけですね。

よって、
\((\sqrt{5}+\sqrt{6})^2\)
\(=5+2\sqrt{30}+6\)
\(=11+2\sqrt{30}\)

\((\sqrt{3}+\sqrt{8})^2\)
\(=3+2\sqrt{24}+8\)
\(=11+2\sqrt{24}\)

ここで、\(大-小\) により、
\(11+2\sqrt{30}-11-2\sqrt{24}\)
\(=2(\sqrt{30}-\sqrt{24})\)

今回は、式変形してから \(2\) 乗することによって、整数の部分がちょうど消去されたので、都合が良かったですね。

また、\(\sqrt{30}\) と \(\sqrt{24}\) は、ルート同士なので、整数のように根号の中の数で大小関係を比較できます。
これにより、\(2(\sqrt{30}-\sqrt{24})>0\)

つまり、\(\sqrt{5}+\sqrt{6}>\sqrt{3}+\sqrt{8}\)が示されたことになります。

これにより、元の不等式、\(\sqrt{5}-\sqrt{3}>\sqrt{8}-\sqrt{6}\)が示されます。

ルートが入ると、途端に難しく感じますが、自分の都合のいいように式変形して、証明を進めればいいのです。
数学は、正しいことを行うというより、間違ったことを行わないという意識の方が大切です。

おわりに

さいごまで記事を読んでいただきありがとうございました!

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