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統計学に関する記事を基礎、応用、実践に分けて投稿していきます。
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【式と証明】部分分数

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目次

分数式の計算

部分分数分解

 \(\displaystyle\frac{5x-1}{(x+1)(x-2)}\) \(\longrightarrow\) \(\displaystyle\frac{2}{x+1}+\frac{3}{x-2}\)

※通分の逆

こういう分数を部分分数と呼びますが、この計算は数列分野のシグマの計算の中で比較的出現してきます。

では、具体的な問題を見ていきましょう。

分数式の和(問題)

次の式を計算しなさい。

(\(1\))\(\displaystyle \frac{1}{a(a+1)}+\displaystyle \frac{1}{(a+1)(a+2)}\)

(\(2\))\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{1}{k(k+1)}\)

分数式の和(答案の例)

(\(1\))

\(\displaystyle \frac{1}{a(a+1)}+\displaystyle \frac{1}{(a+1)(a+2)}\)

\(=\Bigl(\displaystyle \frac{1}{a}-\frac{1}{a+1}\Bigr)+\Bigl(\displaystyle \frac{1}{a+1}-\frac{1}{a+2}\Bigr)\)

\(=\displaystyle \frac{1}{a}-\frac{1}{a+2}\)

\(=\displaystyle \frac{2}{a(a+2)}\)

(\(2\))

\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \Bigl(\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\Bigr)\)

\(=\displaystyle \Bigl(1-\frac{1}{2}\Bigr)+\Bigl(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}\Bigr)+\Bigl(\frac{1}{3}-\frac{1}{4}\Bigr) \cdots \Bigl(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\Bigr)\)

\(=\displaystyle 1-\frac{1}{n+1}\)

\(=\displaystyle \frac{n}{n+1}\)

分数式の和(解説)

(\(1\)) 

部分分数の計算では、分母がある規則性をもった因数たちで因数分解されているケースがほとんどです。
今回は、 \(a\) と \(a+1\) 、 \(a+1\) と \(a+2\) という、連続する \(2\) 数で因数分解されていますね。このように、規則性をもった形になっていたら、部分分数の計算方法で計算しなさいという合図だと思ってもらっていいでしょう。

具体的な計算方法ですが、 \(2\) つの分数に分けて考えるといううまい方法があります。

つまり、
  \(\displaystyle \frac{1}{a(a+1)}=\displaystyle \frac{1}{a}-\frac{1}{a+1}\)
のように、因数分解に使われている因数たちをそれぞれ分母にして、\(2\) つの分数に分けてしまうということです。

こうすることのメリットは、後半に式についても同じように分解するとなんとなくわかります。


  \(\displaystyle \frac{1}{(a+1)(a+2)}=\displaystyle \frac{1}{a+1}-\frac{1}{a+2}\)
となるため、結果的にこれらの和を考えると、\(\displaystyle \frac{1}{a+1}\) がプラスとマイナスで共通しているため、削除され、式が簡単になりますね。

これにより、\(\displaystyle \frac{1}{a}-\frac{1}{a+2}\) が残るので、通分することで、
  \(\displaystyle \frac{2}{a(a+2)}\)
を得るわけです。

答えとしてはこれで終わりなのですが、問題は、勝手に分母を分解して分数の引き算を作ってしまっていいのか、という点です。

仮に、
  \(\displaystyle \frac{1}{a(a+1)}=\displaystyle \frac{1}{a}-\frac{1}{a+1}\)
と分解しようとした場合、右辺を通分して分子の和を考えたとき、左辺と等しくなれば等号が成り立ちます

よって、一度右辺を通分してみると、
  \(\displaystyle \frac{1}{a}-\frac{1}{a+1}\)
 \(=\displaystyle \frac{a+1}{a(a+1)}-\frac{a}{a(a+1)}\)
 \(=\displaystyle \frac{a+1-a}{a(a+1)}\)
 \(=\displaystyle \frac{1}{a(a+1)}\)
となり、左辺に戻りますね。つまりこの分解は成立しているということになります。

逆に、分解して等号が成立しないものはあるのでしょうか?

例えば、\(\displaystyle \frac{1}{(a+1)(a+3)}\) を分解してみましょう。

\(\displaystyle \frac{1}{(a+1)(a+3)}\)
 \(=\displaystyle \frac{1}{a+1}-\frac{1}{a+3}\)
のように分解していいのでしょうか?

右辺を通分してみます。

  \(\displaystyle \frac{1}{a+1}-\frac{1}{a+3}\)
 \(=\displaystyle \frac{a+3}{(a+1)(a+3)}-\frac{a+1}{(a+1)(a+3)}\)
 \(=\displaystyle \frac{(a+3)-(a+1)}{(a+1)(a+3)}\)
 \(=\displaystyle \frac{2}{(a+1)(a+3)}\)

このように、通分してみると、左辺とイコールになりません。
しかし、この結果に \(\displaystyle \frac{1}{2}\) をかけると、もとの\(\displaystyle \frac{1}{(a+1)(a+3)}\)に戻ることを考えると、
 \(\displaystyle \frac{1}{(a+1)(a+3)}=\displaystyle \frac{1}{2} \Bigl( \frac{1}{a+1}-\frac{1}{a+3} \Bigr)\)
とすれば、この等式は成り立つことになるはずです。

こういった手順で、うまく分解できる形を探して、分数の引き算にもっていくのです。

(\(2\)) 

まず、(\(1\))で紹介した部分分数への分解を使い、
 \(\displaystyle \frac{1}{k(k+1)}=\displaystyle \frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\)
のように分解します。

ここで \(k\) に \(1\) から順に数を当てはめていくと、
 \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \Bigl(\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\Bigr)\)
\(=\displaystyle \Bigl( \frac{1}{1}-\frac{1}{2} \Bigr)+\Bigl( \frac{1}{2}-\frac{1}{3} \Bigr)+\Bigl( \frac{1}{3}-\frac{1}{4} \Bigr)+\cdots+\Bigl( \frac{1}{n-1}-\frac{1}{n} \Bigr)+\Bigl( \frac{1}{n}-\frac{1}{n+1} \Bigr)\)
となり、 \(\displaystyle \frac{1}{2}\) や \(\displaystyle \frac{1}{3}\) などの真ん中の項がすべて相殺されるのがわかりますでしょうか?

これにより、残るのは一番最初の項である \(\displaystyle \frac{1}{1}\) と、一番最後の項である \(\displaystyle \frac{1}{n+1}\) のみとなりますので、 \(n+1\) で通分して分子をまとめることで、
  \(\displaystyle 1-\frac{1}{n+1}=\displaystyle \frac{n}{n+1}\)
という結果を得ます。

このように、部分分数分解を用いると、シグマの計算において、途中の数が連鎖的に相殺されるケースが多々あるので、非常に便利です。
ぜひ、使いこなせるようになっておくと良いでしょう。

おわりに

さいごまで読んでいただきありがとうございました!

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私自身、数学に関して順風満帆に理解できてきたわけではありませんでした。

周りを見渡せば数学の天才がゴロゴロいて、そんな人たちに比べれば私は足元にも及びませんでした。

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